《FLAT HOUSE LIFE》復刊のお知らせ
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2009年に上梓しました『FLAT HOUSE LIFE 』、そして12年に上梓しました『FLAT HOUSE LIFE vol.2』は、出版元の事実上の消滅に伴い4年もの間絶版状態にありました。その後幾度となく復刊の話も浮上したものの寸でのところで立消える、を繰り返して来た経緯です。
昨夏、トゥーヴァージンズというあまり耳にしたことのない出版社から復刊のオファーが舞い込みました。それもそのはず、書籍販売の営業アシストをメインの事業とする会社で、出版部門をここ最近立ち上げたといういわば若い会社だったのです。
僕の場合、インタビューや取材の話が来た際は「先ず友達になりましょう」と伝えており、今回も同様の返答をしました。後日2名の男性編集者がやって来たのですが、これまた若い。まあどうせまた同様のことになるのだろう、過度な期待はせずにお手並み拝見とタカをくくっていたところ、予想外にきちんとした青写真と行程案を用意して来てくれ「おや、いつもと違うな」と感心。これまでは編集者が上司の決裁を差し置いて先ずこちらに打診というパターンが多かったので、彼らの“既に社内コンセンサスが取れて来ている感”には意外でした。
2冊を合本にすること、サイズを大きくすることことなどこちらの意向が丸々受け容れられ、その後は彼らの情熱と行動力であれよあれよという間に編集作業諸々も終了、気がつけば校正紙の束に赤ペンでチェックを入れる日が来ていたという経緯。この期間の彼らの集中力は見事なものでしたが、それもそのはずふたりともがFLAT HOUSERだったのです。それまでのことがあるとはいえ彼らを見くびっていた自分を反省しましたが、これまでのどの社とも復刊に対する熱量と取り組み姿勢が違っていたのはそういうことだったのかと腑に落ちました。
斯くして今春『FLAT HOUSE LIFE 』と『FLAT HOUSE LIFE vol.2』は30ページを加えた400ページとなって再編集され、版型もB5にサイズアップし『FLAT HOUSE LIFE 1+2』とタイトルも改にめでたくリバース致しました。これもひとえに熱きFLAT HOUSER編集者たちのおかげと感謝しております。諦めずにいれば必ずや手を差し伸べてくれる理解者が現れるのだと確信した次第です。
それにしても改めて本を見直すとその数に愕然、判っているだけでも既に半数近くが解体されてしまっていました。特にこの2~3年再開発のピッチがヒステリックに急加速しているように映ります。税制の「改悪」と東京五輪の「開き直り開発」の煽りが首都圏を軸に全国波及しているのかもしれません。今回あたかも辞典のような姿にトランスフォームしたこのまことにクレイジーな一冊が、全国の古家、古民家、米軍ハウスや文化住宅を愛好する人々の念を改めてパイルアップし、新しい世代にその熱が反映してくれたらと願っています。
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