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February 2014

2014.02.03

凪ぎに動くものは無し

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1月がスッと終わった。
既に年初に書いていたブログのアップを
すっかり失念、月をまたいでしまった。

昨年の話をすると何に笑われるのかは知らないが、毎年年末になるとどこかのお坊さんがおもてに出て大きな筆を振り上げ、よっこらせとその一年を象徴する漢字一文字をしたためて「今年の一字」と掲げるのを見る。13年は「輪」と書いていた。人々の調和が云々カンヌン〜とおっしゃっているのを見るにつけ、子どもたちの複雑な対立関係から起きたイザコザにわけ知り顔で入って来た先生が、キレイごとで諌めようとする小学校時代の学級会を思い出してしまった。

「欺」「嘘」「疑」… 暴走の「暴」だっていい。ひとかけらでも良識を持って見るなら、昨年も決してポジティブな語で締めくくることなどできない無彩色な1年ではなかったか。オリンピック招致に絡んでのことはすぐ解釈できたが、どうも「輪」には付和雷同というかトンチンカンというか、日和見的印象に共感できない。まぁこの国での仏教は古から常に「政(まつりごと)」に利用されて来たんだっけと思い出し(詳しくは手塚治虫の『ブッダ』ご参照を)お坊さんたるもの、そうそう本音の言えない立場なのかもと無理矢理納得した(でも瀬戸内寂聴さんのような人もいるわけだからなぁ)

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自身をいうならば旧年は「動」だった。昨夏ここでも記したように九州への転居で東京から1000km、ワーゲンキャンパーで2日間かけて移動した。そして取材でもざっくり九州をひと周りし、1000㎞弱を走った。瀬戸内の島へもクルマと共に渡った。それに伴っていろいろな人と出会い話した。「動く」ということは単に物理的に移動することではなく、それに付随し不特定多数と出会い話しインスパイアし合うということであって、“人々との出会い”という砂金をさらいに行くような作業にほかならない。それがなく風景だけを見て廻るというのなら「動く」ことにさほど意味はなかろう。

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手を動かす「動」もあった。九州のハウスも含め、都下に残す拠点用に借りたFLAT HOUSEのリノベートではとにかく働いた。特に施工後半から引っ越し完了、片付けが一段落するまでの7・8月は酷暑と疲労との戦いに終始。その上はっきりあるタイムリミットというプレッシャーが職業柄慣れているとはいえ作業中の精神状態に影響した。“空いてる時間に作業して好きな時に移ればOK”であればどんなに楽なことかと何度も思ったが、『暮しの手帖』の編集長/故・花森安治氏が残した「人は手を動かしている姿が一番美しい」という語をちょくちょく思い出しては自分を鼓舞した。今となってはあの2ヶ月が現在の僕の新しい骨や筋肉になった気がしている。


遠方への引っ越しは、会社員の異動などとは違って自らの選択でだったものの、英断したなんてこともなく自分にとって“いつもの転居”に過ぎなかった、ということは前にも書いた。「さすが実行に移すのが早いね」と何人もの知人から褒めてもらったのだが、むしろ遅かったと恥じている。2年越しの足踏みからやっとの実行だったことは改めて明記しておきたい。

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しかし二居生活の開始は自分史の中でも初であり、人生でひとつの節目になることは間違いなさそう。二カ所と言わず複数箇所で暮らすライフスタイルについては「デュアルライフ」やら「ノマドスタイル」やらと名付けられ、既にいろいろな人が本を出したり実践したりしているが、自分がするとなるとこれはまったく別のハナシだった。取説やテキストはない。自分の「想像」の具現を一から始めるのみ。この暮らしを始めて半年経ったが、正直未だに全体像がつかめずにいる。しかしそれは自分が面白がっている証拠でもある。

安易に予測がつくようなことはタカが知れており、すぐに見切れて飽きてしまう。今までしたこともない未知の出来事に身を投じることこそが生きる楽しみであり、それを乗り越えることで人は成長すると僕は考える。凪ぎには何も動かない。流れぬ水は腐る。

とにもかくにも第一義は“踏み出すこと”。「変化を望むならば自分がその最初の変化になれ」と説いたガンジーの言葉も自分なりに踏襲できただろうか。今年後半あたりにはまた雑感を整理して改めてこの暮らしについて語り直してみたいと考えている。

明日4日は二十四節気でいう立春。
いつもながら時間経過の体感速度は本当に速いのだけれど、新体験の連続のせいか旧年は決して短くない一年だった。今年も来年初に同様な感想を書けるような一年にしたい。


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