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March 2013

2013.03.10

アザラシ400万頭と大人ひとり

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同じようにしている人たちが大勢いるわりに、どうやら公言を憚(はばか)っているような空気だけれど、僕は極力西日本産食材を買うようにしている。一時は九州農家の宅配直販を利用していた時期もあった。こういう行為に対して潔しとしない人もひとこと言いたい人ももちろんいるだろうが、僕は安全のことだけでなく「抗議」の一環だと思ってやっている。

陸でつながる地の復興を願わない者はいない。が、それを利用して自分たちの罪の追求の矛先を反らそうとしている人々の魂胆がいただけないのだ。カタいこと言わずに食べてやれ、食わないヤツは人でなし、売れ残れば風評被害という理論パッケージをバラまいて疑問を抱く方をワルモノに仕立てる。いったい誰がこんな状態にしてしまったのかを問わせないようにするための「被災者かばい」にしか映らない。

こういうコトバに安易に乗ってしまうことは犯罪人達に「やっぱカンタンだったわウチの国民」とタカをくくらせることになるだろうし、何より第二第三のゲンパツ被災地を生むことにもつながる。そんな下心はないというならば彼ら自らがホットスポットの農地を抱える全農家と契約し、すべて買い上げて親戚縁者で食べることから始めたらいい。それならば説得力も増そうというもの。

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話を戻すが、最近では生協系列の店で購入するようになった。関東からの需要がうなぎ上りになるにつれ、野菜の鮮度と質が少し低下し始めた感があったことも起因するが、信頼できる友人のススメでこちらを知ったことが大きい。ここは出資制チェーンで食品一品ずつ数値測定しており、国の基準を用いずに独自で設定した数値をクリアしたものでないと置かないと謳っている。

もちろん詐称している可能性も0ではないけれど、容器の形を一律にしコストを下げたり、リユースを徹底したりなどの努力も含め、組織の信頼性を精査した上で判断し購入している。その分価格は少し高めだが、外食することを考えればそこまで気にならない額だ。また、近隣で穫れたものなら一般のスーパーより安いものもある。大手量販チェーン店も安さ追求ばかりせず、こういう部分で努力すべきではないか。


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それにしても産地を商品名の横で謳う商品が激増した。特に「北海道の」「北海道産」は本当によく目にする。某スーパーのPB(プライベートブランド)商品の乳製品も「北海道」の3文字が容器に踊っていたが、よく読むと製造工場は埼玉県。北海道の原料を使っているともどこにも明記されていない。いったいどこに北海道が由来しているのか結局不明だった。

こういう便乗商品もおそらく多いと思われるので、よく読んだり調べた上で購入する必要がある。そもそも北海道がそこまで安全か、ということにも議論の余地ありなのだとしても、安全と決めつけ調べもせずにむやみに購入することもやはりバランスを欠いた行為だとも思う。


昨日沖縄産のインゲンを見かけた。消費期限切れ間近の、いわゆる「見切り品」。値引きされていただけあって退色しており元気度が非常に低い。しかし今日誰も買わなければ週明けは生ゴミとして処理されることだろう。


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「フードマイレージ」という言葉がある。食べ物の輸送でどのくらいCO2が排出されるかに対する指標で、フロリダから日本に来たオレンジはフードマイレージが大きく、和歌山のみかんは小さいという考え方だ。沖縄からとなればそこそこフードマイレージが大きい。わざわざ飛行機に乗ってやって来たというのに、誰の口にも入ることなく焼却炉、良くて家畜の胃袋かコンポストに行くのだ。こいつがここに並ぶまで運送を含め相当な量の化石燃料を使って来ているに違いない。それがすぐさまアタマをよぎった。

消費期限切れなどで処分される食材いわゆる「フード・ロス」を、ドイツは年間31万トンも出しているという。これでたじろいでいたら、何とわが日本の排出量はその20倍以上、500万〜800万トンなんだとか。こういうことに関しては、面積が小さいくせに大国アメリカに追随することの多いわが国、さもありなんだが、ああそうですかと聴き流せない量だ。

平均体重が2トンであるゾウアザラシならば400万頭分…想像がつかない。一人アタマに換算すると判りやすいか。約60キロ、大人の男性1人分ほどの重さだ。成人男性なら自分と同じ体格のニンゲン1人に相当する食品を各個人が廃棄している計算になる。が、女性や子供となれば自重を上回る。もちろんそれ自体もったいないことこの上ないが、それらのフードマイレージをも考えれば、途方もない。レジ袋を使用しないことなんて禊ぎ(みそぎ)にもならないようにさえ思えて来る。

などとジャーナリスティックに筆したためる僕も先日冷蔵庫の中でオクラを腐らせた。「冬なのに」である。「冷やしていたのに」である。半日自己嫌悪に陥った。結構気をつけているつもりのこの僕でさえこうなのだから、全国を考えればスゴいことになっているに違いない。


結局“ウチなん”からいらした半弱りインゲンは我が家で
引き取ることに。腐らせないよう明日はこれを食します絶対に。

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で、こうなりました。

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