『FLAT HOUSE LIFE vol.2』発売のお知らせ
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本日21日『FLAT HOUSE LIFE 』の二冊目をリリースしました。
3年前に上梓した、関東南西部〜東京都下に点在する古い平屋とそこに住む人々に魅力的な暮らしを紹介した一冊目には、実はいくつかの反省点がありました。そのひとつが掲載物件数。17棟(コラムを足すと18棟)というボリュームに本が追いつかなかったという点です。
出版社トップからは当初「30物件載せろ」という、僕からいわせれば内容を鑑みない極めて無謀な要求が突きつけられましたが、NOと返答。「それは自殺行為。そんなに詰め込んだら平屋の良さは伝わらない。巷によくある商業インテリア誌になってしまう」と強く抵抗し、何とかこの棟数にまで留めさせたという経緯があります。(まあ、経営者をはじめ役員クラスの人々は「中古平屋の本なんか売れるのか?」程度にしか思われていなかったようですが、強く共感してくれていた女性編集者の尽力に助けられた形です)
それでも最終的には17軒でもたっぷり2冊、いや3冊は作れるだろうボリュームが用意した材料にはあったのです。その中には掲載物件の数十年前の初々しい姿を収めた写真や老朽化した数多くの廃墟ハウスの写真もあれば、建具類を集めたコラム『パーツミュージアム』ももっともっとバラエティに富む予定でした。
最初の一軒を執筆し終えた直後、この調子ではとても1冊には納まらないと早々に判断できたため、二冊に分ける「分冊案」を上申しましたが、検討された気配もなくふたつ返事で却下。たらればの話になりますが、もしそれがキチンと検証し検討された上で答えが出されていたならば、上記の写真や断腸の思いで割愛したカットをすべて載せた上下巻が存在していたはずと信じています。
そしてもうひとつが版形。本当は25cm角くらいの正方形、ダメでもB5でと考えていましたが、まぁ無名イラストレーターの初著書ごときにそこまで冒険できるかといったところだったのでしょう、一般的なA5というサイズに落着。その上18棟というボリュームから否応なく写真が細かくなってしまった。その点も悔いる部分でした。
にも拘らず多くの方々がこの書をお買い求めくださったことは驚きに値し、感謝も絶えない中ひとまず安心はできましたが、その分用意した材料を余すことなくお見せできなかったという悔しさが日に日に大きくなっていきました。
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その轍から誕生したB5版形一冊平屋一軒の自費出版書『FLAT HOUSE style』。現在vol.3まで上梓し、おかげさまで創刊号とvol.2は完売するに至りました。しかしながら、その後取材を進めるうちに「載せたいけれど一冊には満たない」という物件に少なからず出会うようになったことも事実。それらを紹介するのにはやはりF.H.LIFEは適していると考えられるようになり(もちろんF.H.styleでも充分取り上げられるボリュームの家も載っていますが)完売した2刊もなかなか重版がかけられず、ご注文やお問い合わせにもお応えできない状態の中、安定供給できる初著はそれなりに役割があることを認識するに至りました。そんなことが2冊目を出す動機となった次第です。
また逆説的ですが、先の大震災やゲンパツ爆発による心身への影響も少なからず制作の後押しをしてくれたと思います。その辺りについてはまえがきでたっぷりと解説していますのでご一読ください。
先述の通り、物件数を前作よりも減らし、その分それぞれの平屋の写真点数を増やしてじっくり紹介することに主眼を置きましたので、載せこぼしはほぼナシ。A5サイズで200ページ弱の本であればこのくらいの軒数が限界という僕の当初からの考えが反映され、ちょうど良いボリュームに仕上がっていると思います。
最近世間を騒がせている、およそ5000年を一周期とした「マヤ暦」によれば今日がちょうど周期の節目で文明がリセットされる日とのこと、何の因果かそんな記念すべき日に発刊された第二弾。人類がこの一両日中に終わってしまうか否かはまだ判りませんが、生まれたての『FLAT HOUSE LIFE vol.2』がみなさんの人生の節目のきっかけとなるテキストとなってくれれば幸甚です。
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