師走はゆっくり済ます
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クリスマスなんてあっという間に来るんだろうなぁ
などとノビをしながら言っていたのがF.H.style3号を発刊した9月。
と思ったらそれももう終わってしまい、今年もあと数時間ではないですか。
ところが我が家ではつい昨日までツリーが静かにこちらを見下ろしていた。
高さ2m超えの長身で、身幅もそれに準ずるサイズのこのツリー、
2年前オークションで横田の米軍の兵隊さんから新品を
本国より取り寄せてもらったという出品者から落札したもの。
確かにハウスでなければちょっと飾るのにはムリがあるサイズ。
これを国内規格の室内に置いたら
お茶飲む時に葉先が眼に入ってさぞ痛いことだろう。
出品者も普通の家に引っ越すため手放しますと解説、
私とてここに住んでいなかったら入札などしなかった。
(おかげで他の入札者はゼロ、落札額は5千円ほど)
そもそも5歳になる頃
「ハイ、これは西洋のお祭りだから今年で終わり」
と終結宣言を父親から一方的に言い渡されて以来、
商業祭と化した形だけのクリスマスに乗っかることを
良しとしなかった私がなぜ今になって巨大ツリーなのか。
それは10年ほど前に招待された近所のハウス住人
Sさん一家のクリスマスパーティを経験したことに起因する。
あれは本当に良かった。
英国人の奥さんが仕切る会はとても
民族行事然としており大人の行事だった。
コマーシャルな派手さなどは微塵もなくジツにしとやか。
しっかりと下ごしらえされた料理や丁寧に焼かれた
お菓子を楽しみながら親族知人と静かに過ごす夜は
まさに日本の正月にあたる風情と解釈できた。
こんな幸せな時間があったのかととても清々しい気持ちになった
あの体験が今、我が家にこんなドデカいツリーをそびえさせている。
そして今回が3回目の聖夜。
もちろん宗教的な意味などまったくなく、
商業祭と揶揄できる立場にはないことは重々承知。
ただ、古き良き聖夜と言うものの空気を
我が平屋で再現してみたかっただけなのだ。
3月以来、何をしてもあまり楽しい気分になれなかったけれど
この2~3日の間に大勢の人たちがツリーを見に来てくれ、
彼らと会話を交わす時間こそ至福であるということを
今年はことさら強く感じた。
それだけでも父親の禁を破ってよかったと思う。
つくづく不幸とは幸福の教師なのだな、と
ため息まじりに独りごちてしまう年の瀬です。
e-bayで入手した50~60年代のオーナメントは日本製。里帰りした彼らはFLAT HOUSE style 02でも紹介済み。ハウスに住んだならばThe Beach Boysのクリスマスソングアルバム『The Beach Boys' Chiristmas Album』のスリーブ写真をゼヒ一度再現したいと思っていたが、やってみるとこれが結構大変な作業なのである。
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