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2011.01.31

FLAT HOUSEの救済方法(1)

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年初から3月まではFLAT HOUSERにとって試練の時節。
朝起きてキッチンのファンヒーターを点けると
室温のLED表示値は「4℃」、仕事部屋のは「LO」を表す。
おそらくこれが彼らの検温値のミニマムなのだろうが、夏の
冷蔵庫内が大体6℃前後だからそれより低いということになる。

ストレージにある洗濯機ホースは水抜きしておかないと
深夜には凍るし、台所のオイル類もキレイに固化する。
両者ともに布か何かを巻いておいてやらないといけない。

しかし、冬将軍が長逗留してゆくこの厳寒期を耐え抜くと
「強い体力」がもらえる仕組みになっている平屋ライフ、
風邪をひく回数が目に見えて激減するからフシギ。
それから「春到来の過度なヨロコビ」もついて来ます。

なんて言っているウチにもう2月ですが、
あけきってしまいましておめでとうございます。
本年もお手ヤワラカにひとつ。


++++++++++++++++++++++++++++++++++


「ウチの近所のハウス、借りてください!!」


ヤブから棒な電話があったのは昨年の拙著展終了直後、
5月の終わりごろ。声の主は『F.H.LIFE』の取材協力を
してくれた真鍋さんの奥さんだった。

まったりとした口調でお話になるジツに温厚な性格の
女性なので、めったに声を荒げたりすることのない
彼女なのに、この日の電話はいささかコーフン気味。

聞けば20年以上も借りられ続けていたある一棟の
米軍ハウスが急に空き家となり、入居者を募っているという。
何でもこの物件は彼女が幼少時代から知っている一軒で、
いつか住みたい…!と当時から
憧憬の念を持って眺めていた曰く付きハウスだそう。


そんな物件が空っぽの状態で「お待たせ。どうぞ」といって
微笑んで建っているのだから、興奮するのも無理はないこと。
借り手がつかなければ取り壊すとオーナーが
言っているらしいので何とかして欲しい〜と言う。

では近々見に行きますよと、とりあえず電話を切った。
うーん…困ったぞ。ここにも越してきたばかりだし
いくらなんでももう一棟借りるような余裕はない。

とはいえこのまま見過ごすワケにも行かず、何かせねばと
心当たりの友人知人に打診はしたものの、
入居タイミング上の問題や、ロケーション的不都合などで
全員NGの回答だった。

そこで思いついたのが、「ここで何かやりたい」という人を集めて
何かをする、といういう、まあ最近ハヤッてはいるが
シェア‘フラット’ハウスという使用法だ。
お金がないならばそこで家賃を作り出すことをやれば良いわけで
更に大勢でやればリスクも少なかろう。人集めなら自信もある。 


=============



翌日、友人とクルマを走らせハウス視察に向かう。
物件のある大和市方面にはしばしば行っていたが、
我が家からだとどうしても片側一斜線の街道を
使わないと行かれない。結構な時間を要する
ことはある程度覚悟していたものの、やはり遠い〜。

概ねの位置は解していたが、実際到着してみると駅からの
近さにびっくり。「FLAT HOUSEは駅からは遠い」というのが
定説化しているが、最寄りの私鉄線駅から徒歩6~7分だという。
これは「何か」ができるぞ、と直感した。


■いざ内覧へ。予め聞いていたとおり、かなりのヤレ具合。
壁には前住人の生活塵による家具類の影「汚れのシャドウ」が残る。掃除を怠っていた輝かしき証だ。

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■天井には雨漏り跡、壁もささくれ放題。腐った根太であちこちがフカフカする。この床の感触は古いハウスの悲しきお約束。

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■キッチンもかなりのシャビー加減。錆びないはずのステンレスシンクには腐食が。キャビネットの合板にはヒビが入ってめくれ返っている。



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この状態を新築物件やマンションに住み慣れた人たちが見たら、とてもじゃないが住もうとは思わないだろう。


しかしリビング+3ベッドルームの広さ、廊下もあるしバルコニーも庭も付いている。カーポートは2
台収容可能なスペースを有している。


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総合判定は「満点に近いハイ・ポテンシャル物件」と結論。家賃も10万を切っての安価だし、何より住み手に手を入れる余地をたくさん残しているこういう物件こそ優良物件なのである。想像力を掻き立ててくれるジツに良い平屋だ。

帰宅後早速ここで何かしてもらいたいという人々に声をかけることにした。後日、細山田デザイン事務所の細山田氏、イラストレーター仲間の青山京子さん、maonのギタリスト&シンクロデザインの岡 優太郎氏らがお忙しいところ集まってくれた。


Dscf7414_3

かくして、このハウスはワレワレに借りられることになるのだった。
さあて、このハウスがどんなふうに変身するのか、おたのしみに。


つづく


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Comments

はじめまして。
神戸在住の佐藤と申します。
昨年のクリスマスに主人がftat houseの本を私に買ってくれました。私達も19年前から平屋に住んでおりますが、そのたたずまいが写真で紹介されている米軍ハウスに大変よく似ておりましたので、とても興味深く、拝見させていただきました。私達も今住んでいる家には同じくらいの愛情を持っています。だからこの本との出会いには新しい気の会う友達に出会えたような感激がありました!
flat house styleのvol1.vol2も注文して昨日vol2だけ届きました。嬉しいです!。写真も大きくて見やすいし、写真眺めるだけでワクワクしてます。
我が家にも何か自慢出来るものはないかと探しました。錠剤型、シェイカー型のランプあります。
洗面台も年期入っていて気に入ってます。でも残念なことにこの19年の間にリフォームを重ね、後残っているのは外壁と屋根と天井くらいです。

ウチの周りも救済したくなるような誰も住んでいない平屋が何件かあります。自分が住むことを想像して傍から眺めることしかできませんが。

これからもご活躍されますよう応援しております!!!
flat house style
ゆっくり楽しんで読ませていただきます。


Posted by: 佐藤 香葉子 | 2011.02.02 at 11:11 AM

その節はありがとでした。
ぷちご無沙汰です。

ん〜、続き早く読みたいです。
楽しみにしています。
どんなんになったのかな〜。

Posted by: デニ〜です。 | 2011.02.02 at 05:56 PM

■佐藤さん
拙著のご高覧ありがとうございます。

残っているオリジナルパーツ、ぜひ大事になさってください。
また、リフォームの際はなるべく工務店には相談しないことです。
彼らはできるだけ仕事を大きくしたいので余計なことまで
しようとしますし、カタログ内以外のことはしようとしませんから。

おすすめは一人で仕事を取っている大工さん。
概ね彼らはこちらが注文した部分のみを施工し、
古いものが好きと知るとそういう提案にも乗ってくれます。

今後ともよろしくお願い致します〜


Posted by: arata coolhand | 2011.02.05 at 12:29 PM

■デニーくん
そっち方面だと、千駄木の往来堂書店に
置いてありますのでどうぞ〜〜

暖かくなったら今度はゆっくり時間を取って
遊びに来てください。本年もよろしく!

Posted by: arata coolhand | 2011.02.05 at 12:32 PM

大阪在住のirukaです。
Flat House Lifeから、とても楽しく読ませていただいてます。
もともと古いものが好きで、いつか掲載されているような家に住めたらなあ・・・と思っています。

佐藤様
 神戸で平屋に住んでいらっしゃるということ。うらやましいです。しかもご近所にまだ空いているところがあるなんて!!
 どこかいい物件がないかと思っていたところなので、差し支えなければ、どのあたりなのか教えていただけないでしょうか?
 よろしくお願いします。

Posted by: iruka | 2011.02.20 at 04:57 PM


■irukaさん
拙著のご高覧ありがとうございます。

6月辺りにイベントで大阪の書店へ
お伺いする可能性が出て参りました。
その節はまた告知しますのでぜひお越しください〜

Posted by: arata coolhand | 2011.03.10 at 11:42 PM

はじめまして、東京都にすんでいます。
佐藤です。

福生は、地元で30年近くなじみのあるエリアです。
僕も、僕の父もグラフィックデザインをしています。
その昔、僕の父は立川/中神にあった米軍ハウスに
友人のコピーライターさんとシェアしていたそうです。

そこで、できた(笑)
僕だと思いますが、母と結婚して
現在、その当時を彷彿するような実家も

現在の家は、二軒目ですが
一軒目の青梅市にたてた我が家も
米軍ハウス風の家でした。

二軒目の埼玉県飯能市(吾野という街)にある実家も
アーリーアメリカンな米軍ハウスをイメージするものです。

現在は、僕とプロダクトデザイナーの妻と2人の子供と
4人で暮らしていますが、

いまは、賃貸アパートに住んでいます。
そうした両親のもとで育ったせいか、僕らも米軍ハウスにとても興味があります。

ただし、ひとつだけハウスの課題で
住みやすいこの現代生活と比較したときに、

どうしても「むし出没多し」「駅から遠い」「雨漏り」「メンテ困難」などがやはり気になります。

入間のジョンソンタウンは、
そういった意味で「平成ハウス」は

賛否両論ございますが、僕はぜんぜんいいなーーーと思ってます。

なんなら、自宅は自分でハウス風なの
たてたいと考え中です。


佐藤

Posted by: 佐藤 | 2011.03.28 at 02:43 PM

■佐藤さん
中神のハウスとはまたニッチですね!あそこにはまだほんの数棟ハウスが残っているのは存じていますが、ハウスと文化住宅の混血のような佇まいでしたね。恐らくご尊父の時代にはもっと素敵な物件がたくさんあったのでしょう。

確かにハウスに仰せのデメリットは付きものです。特に「駅から遠い」はハウスの常識。しかしそのおかげでベトナム戦争終結後40年近くも経っているというのに開発をま逃れまだ残されているのでしょう。

とはいえ、今後はいくら残す活動をしても減少傾向は否めないでしょうから、それを嘆いてばかりいても仕方ない、こっちでも建ててやろう!という考え方に私も少しシフトして来ました。

ハウスが壊された後どうせチンケな建て売りが建つんなら、少しでも後世に残って恥ずかしくないものを建てた方が良いだろう〜と、狭山ハウス在住の建築家と一緒にディテイルをキッチリ再現した米軍ハウス・レプリカを建てようと言うプロジェクトを始めた次第です。

詳細はこちらでもアップしようと思いますが、もしご興味があるようでしたらお話し致しますのでご一報ください。コメントありがとうございました〜

Posted by: arata coolhand | 2011.04.01 at 12:59 AM

実は、父も20〜30年くらい前からこういった
米軍ハウスの構想を検討していまして、

グラフィック本業の父がハウスメーカーのプロデューサーとして勤めていたこともあり、そういったことを若輩ながらさんざんトライしていたようです。。

よく、米軍ハウスの話は小さい頃から聞かされていて
幼少期に育った家も、外人ハウス風の家でした。

おっしゃっている通り、普通の工務店さんは、
本当によけいな事はしたくない職人気質らしく

一軒目をたてた際も、押し入れの中まで漆喰にして
大工さんに本当にいいんですかって竣工前日まで言われていたそうですよ。

たぶん時代のこともあったのか、
いまよりもっと厳しいかった時代だったみたいで

「米軍ハウスの構想」を横浜とかみたいに景観美化の都
市計画みたいにやりたいとか言ってましたが
実現にはいたらずでした。

そんな父の思いを受け継ぎ、今度は後世の僕らが実現する番なのかなぁーとぼんやり思っていたところです。

そんな時にFLAT HOUSEの本を購入致しました。
父にも間髪入れず報告したところ

本当に懐かしいなーってずっと母とFLAT HOUSEの本を握りしめて言ってました(笑)

実は、実家の飯能ですが父と企んでいることが
ございまして、

国道299号という「長野」から「日高/入間」までアクセスしてる国道の都市計画と街おこしの一環で、景観美観のプロジェクトとかできたらいいねと!!

僕と父のなかで「299ブランド計画」(笑)って勝手に呼んでいるのですが、ダサイ玉をイケテル街にする
「街おこし」をデザインしたいなと。

アラタさんがおっしゃている、レプリカ米軍ハウスのような分譲とかも父の代でもやはり考えていたようで、

やっと現在そういった方が色々でてきてくださり。
なんか、いい時代になってきたなと父も先日実家に帰った際にぼやいてました。

是非、差し支えなければ詳しくお話などを伺いたいのですが。
今後なにか、面白いことご一緒させていただけたら良いなと思っております。

いろいろ嬉しく興奮しているので、
メールが長文&乱文にてすみませんでした。

Posted by: 佐藤 | 2011.04.04 at 02:40 AM


■佐藤さん

いえいえ、想いのたけをおしたため頂きありがとうございます。
やはり心証風景としてハウスは印象に残るのでしょうか、
居住者2世は不思議と多いんですよね。しかもほぼ8割方が
クリエーターなどモノを制作する仕事についているのも
みなさんの共通する特徴かもしれません。

週末のJOHNSON cafeでお会いできるのを楽しみにしています。
米軍ハウス蘇生プロジェクトのメンバーも来ますので〜!

Posted by: arata coolhand | 2011.04.21 at 10:17 PM

こちらこそ、ご多忙のところご丁重に
本当にありがとうございました。

週末、妻ともお会いできることを心より楽しみしています。何卒、宜しくお願い致します。

Posted by: 佐藤 | 2011.04.23 at 02:41 AM

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