FLAT HOUSEの救済方法(1)
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年初から3月まではFLAT HOUSERにとって試練の時節。
朝起きてキッチンのファンヒーターを点けると
室温のLED表示値は「4℃」、仕事部屋のは「LO」を表す。
おそらくこれが彼らの検温値のミニマムなのだろうが、夏の
冷蔵庫内が大体6℃前後だからそれより低いということになる。
ストレージにある洗濯機ホースは水抜きしておかないと
深夜には凍るし、台所のオイル類もキレイに固化する。
両者ともに布か何かを巻いておいてやらないといけない。
しかし、冬将軍が長逗留してゆくこの厳寒期を耐え抜くと
「強い体力」がもらえる仕組みになっている平屋ライフ、
風邪をひく回数が目に見えて激減するからフシギ。
それから「春到来の過度なヨロコビ」もついて来ます。
なんて言っているウチにもう2月ですが、
あけきってしまいましておめでとうございます。
本年もお手ヤワラカにひとつ。
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「ウチの近所のハウス、借りてください!!」
ヤブから棒な電話があったのは昨年の拙著展終了直後、
5月の終わりごろ。声の主は『F.H.LIFE』の取材協力を
してくれた真鍋さんの奥さんだった。
まったりとした口調でお話になるジツに温厚な性格の
女性なので、めったに声を荒げたりすることのない
彼女なのに、この日の電話はいささかコーフン気味。
聞けば20年以上も借りられ続けていたある一棟の
米軍ハウスが急に空き家となり、入居者を募っているという。
何でもこの物件は彼女が幼少時代から知っている一軒で、
いつか住みたい…!と当時から
憧憬の念を持って眺めていた曰く付きハウスだそう。
そんな物件が空っぽの状態で「お待たせ。どうぞ」といって
微笑んで建っているのだから、興奮するのも無理はないこと。
借り手がつかなければ取り壊すとオーナーが
言っているらしいので何とかして欲しい〜と言う。
では近々見に行きますよと、とりあえず電話を切った。
うーん…困ったぞ。ここにも越してきたばかりだし
いくらなんでももう一棟借りるような余裕はない。
とはいえこのまま見過ごすワケにも行かず、何かせねばと
心当たりの友人知人に打診はしたものの、
入居タイミング上の問題や、ロケーション的不都合などで
全員NGの回答だった。
そこで思いついたのが、「ここで何かやりたい」という人を集めて
何かをする、といういう、まあ最近ハヤッてはいるが
シェア‘フラット’ハウスという使用法だ。
お金がないならばそこで家賃を作り出すことをやれば良いわけで
更に大勢でやればリスクも少なかろう。人集めなら自信もある。
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翌日、友人とクルマを走らせハウス視察に向かう。
物件のある大和市方面にはしばしば行っていたが、
我が家からだとどうしても片側一斜線の街道を
使わないと行かれない。結構な時間を要する
ことはある程度覚悟していたものの、やはり遠い〜。
概ねの位置は解していたが、実際到着してみると駅からの
近さにびっくり。「FLAT HOUSEは駅からは遠い」というのが
定説化しているが、最寄りの私鉄線駅から徒歩6~7分だという。
これは「何か」ができるぞ、と直感した。
■いざ内覧へ。予め聞いていたとおり、かなりのヤレ具合。
壁には前住人の生活塵による家具類の影「汚れのシャドウ」が残る。掃除を怠っていた輝かしき証だ。
■天井には雨漏り跡、壁もささくれ放題。腐った根太であちこちがフカフカする。この床の感触は古いハウスの悲しきお約束。
■キッチンもかなりのシャビー加減。錆びないはずのステンレスシンクには腐食が。キャビネットの合板にはヒビが入ってめくれ返っている。
この状態を新築物件やマンションに住み慣れた人たちが見たら、とてもじゃないが住もうとは思わないだろう。
しかしリビング+3ベッドルームの広さ、廊下もあるしバルコニーも庭も付いている。カーポートは2
台収容可能なスペースを有している。
総合判定は「満点に近いハイ・ポテンシャル物件」と結論。家賃も10万を切っての安価だし、何より住み手に手を入れる余地をたくさん残しているこういう物件こそ優良物件なのである。想像力を掻き立ててくれるジツに良い平屋だ。
帰宅後早速ここで何かしてもらいたいという人々に声をかけることにした。後日、細山田デザイン事務所の細山田氏、イラストレーター仲間の青山京子さん、maonのギタリスト&シンクロデザインの岡 優太郎氏らがお忙しいところ集まってくれた。
かくして、このハウスはワレワレに借りられることになるのだった。
さあて、このハウスがどんなふうに変身するのか、おたのしみに。
つづく
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