クールハンド紳士録 No001 【丹下陣太氏】 (上)
初著書『FLAT HOUSE LIFE』はおかげ様で先週末第2版が刷り増し完了いたしました。たくさんのご声援&ご購買ありがとうございました。Amazonでは長期在庫切れが続き大変ご迷惑をおかけしております。そろそろご利用可能になるかと思いますのでよろしくお願い致します。
さて、今回からシリーズ『クールハンド紳士録』を開始します。私の周囲にいる無名ながらも素晴らしい考え方と行動力で生きる偉大なる友人たちをジックリご紹介いたします。記念すべきその第一弾は、森を切り拓き廃材などを使い永い歳月をかけてたったひとりで家を建てている男の登場です。
++++++++++++++++
話をこの春に戻すことにしよう~
新居の庭には池があった。
ずいぶん前の住人=会社経営者が錦鯉を飼う為に設えたらしい。その池こそ入居を躊躇させた張本人。中途半端な「和」な作りにてっきりガイジンさんが造っていったものかと思ったが、当時から住んでいる近隣住人の証言からどうやらそのシャチョーさんが作ってっちゃってくれたと判明。まぁ当人はサンルームなんかも作って行ってくれたため、一概に責めることは出来ないがそれにしてもまあ厄介なものを残して行ってくれたものだと我が家の目の上のタンコブ化していた。前居では大家の徹底した撤去要請に苦しめられ、新居では撤去していかない前住人の遺産に苦しめられるとは、なんたる理不尽。
結構なスペースを取っているので池自体も困りものなのだが、2箇所に儲けられた「滝口」の完成度の低さがまたネックだった。脇から穴開きブロックがモロ見え。見てくれの悪さにかなり貢献しているコヤツの撤去に先ず取り掛かることにした。
業者に訊いてみたがかなりの費用がかかりそうな様子。まあメンドくさいと適当な大きい額を言って諦めさせるのかもしれない。最後にご近所の造園業者に問い合わせると、とても親切でわざわざ出向き「これならドリルを借りてご自分で外せますよ」などといろいろレクチャーしてくれた。でも結局行き着くところそれか・・・・先日の植木抜きがこたえて、しばらく自分で何かしたくないなあ~大抵のことはやってのけてきたつもりだが精神だって肉体と同様に疲労するものだ。
山梨県に森を買い、そこにセルフビルドで家を造っている弟を持つ友人が居る。彼ならば手を貸してしてくれるのではと思い友人に相談してみることにした。するとその日の内に返答が来て翌週下見に来てくれることに。
当日、小雨の中ユニック(クレーン)を背負ったブルーの作業車で到着。ウワサの自前トラックだ。実は彼、ブルドーザやパワーショベルまで持っていて、家を建てる前に先ず森を切り拓いて道路から造成したという。しかもたったひとりで!彼の名は丹下陣太。
彼の兄、すなわち友人はグラフィックデザイナーを生業としているが、自費出版で音楽系の雑誌を発刊したり、この春に自分もミュージシャンとして40過ぎてのメジャーデビューを果たすなど努力を惜しまない才人。とても正義感が強く、言動と行動が伴っており頭も切れる御仁。もしお互い明治維新にでも生きていたならばやはり同胞にでもなっていただろう熱き男(笑)。その彼の弟とは一体どんな男なのかと楽しみにしていたら、また兄と違った意味で芯が通っており、頭も切れ話も面白い。その上腕に技を持つとは・・・う~~ん恐るべき兄弟!
陣太氏はヒョウヒョウとした面持ちで池の周囲をぐるりと眺めた後「この程度ならばそんなに難しくはないと思いますよ」というコメントを吐いた。ただし、背後のブロック塀に密着しているためそれを傷つけることとなる故注意が必要です、手順としては~・・・とハキハキ説明し始めた。ジツに頼もしい。とりあえず仕事として日当をお支払いすることで交渉成立。施工はGW前の4月22日大安に決まった。
つづく
| Permalink | 0
The comments to this entry are closed.
Comments