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January 2005

2005.01.23

ドイツ製メガネと洒脱なヒト

メガネは小学5年生からの付き合いです。22歳の時、仕事の関係で住んでいた岡山県で友人からデッドストックをたくさん置いているメガネ店を紹介されました。しかも信じられないくらい手ごろな値段を付けており、とても感じの良いオーナーの人柄もあってよく通っていました。

当時まだ高価で珍しかった度付きのカラーレンズもデッドストックが大量に揃っており、その上驚くほどの安価だったためメガネとセットで20本近くを購入するに至りました。

なかんずく一番のお気に入りがドイツのメガネメーカーRodenstockの『PERCY/MB』。1950年代後半あたりの製品で、フレイムが樹脂、ツルがステンレスで作られたハイブリッドモデル。現在ではよく見かけるセルとメタルの組み合わせですが、実はこの『PERCY/MB』がマスターピースであるとのこと。当時これをかけて帰省した際、下北沢や渋谷の古着屋・輸入レコード店をまわったりするとよく「それどこで買ったんですか!?」と店員に声をかけられたものです。言い値で良いので売ってくれといわれたことも何度となくありました。

この店のオーナーはクラシカルなクルマやボートも所有する趣味人。もちろんメガネについての知識も豊富で、さまざまな部材からメガネを製作してしまうほどの腕もあり、僕が走り描きをしたイラストからオリジナルを作ってもらったこともありました。独自の仕入れルートをいくつも持っているようで、まるでコレクションを楽しむように、しかもリ-ズナブルな価格で商売をするこのオーナーに出会った時(失礼ながら)こんな地方にこんなインテリジェンス溢れるメガネ屋さんがいるのかと正直驚かされました。今にして思えば逆に東京や大阪ではなく、むしろ岡山のような地だからこそ、このようなパーソナリティのメガネ店があったのかも知れません。

岡山県在住時代はこんな「センス溢れる人々」との出会いがたくさん待っていました。彼らは僕から地方に対するアサハカな偏見を拭い去ってくれた上、その後僕の中で着々と構築される「都会より田舎」「海浜、山河、田畑のあるところにこそモダニズムの存在する余地がある」のセオリーに大きなヒントを与えてくれたのです。
本当に趣味の良い「都会的な人」とは都会には居ないのではないか?という二律背反に徐々に気づき出したのはちょうどこの頃からだったような気がしますね(モチロン例外はありますが)。


昨秋久しぶりに彼と電話で話した際、つい数ヶ月前に奥様を亡くされたり、愛娘も嫁がれたという近況を聞かされました。昨今の厳しい経済状況も加え、さぞ寂しい時間を過ごされているのではと思い、切り際に「ご上京の際はぜひお立寄りください」と結ぼうとしたところ、ありがとう~気が向くと独りで愛車を跳ばして富士山を観に行ったりはようしよるんですよ、というヒョウヒョウとした岡山弁での応答!こんなヒトを見ていると、本当に洒脱な人は都会に住むか田舎に住むかなど関係なくのびのびとした場所に生きているのだろう、住む地面の価格ではなくそこに住む人の質がどうなのかがモンダイなんだな、などと再び強く思ったりするのです。

 

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手前がRodenstock『PERCY/MB』で、やはり60年代製のスモークレンズが入っている。この時代のスモークレンズは現在のモノと染色方法が違うため、色に独特の雰囲気がある。奥が同社の『schw』で、左ツルのサイドにデザイン化されたRマークが入っているのだが、片方だけにさりげなく入れてあるところがクール!


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左ツルの内側には社名&モデル名のレリーフが。かなり純度の高いステンレスを使用しているためか半世紀近く経っているにも拘わらずサビひとつない。セル部は大抵分解が起こってくるものなのだがヤレ感の微塵も見られない。ドイツ工業製品のレベルの高さが垣間見られる。

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