MODS MAYDAYレポートの前に・・・
キングスクロスの週末の夜は
けたたましいスクーターのエンジン音から始まる!
「Have a nice weekend! 」
タイクツな職場のタイクツな上司から薄っぺらな
給料袋を受け取ると、アフター5に放り出された
モッドたちはM-51パーカを羽織り、思い思いに
デコレートされたイタリアンスクーターに飛び乗った。
行く先はブライトンビーチ。
もちろんドラッグストアでレジを打つあのコを拾ってからだ。
明日は大勢のfaceが集まるに違いない。
噂ではロッカーズも集まるようだ。
先週仕上がったばかりの5インチサイドベンツの
ズートスーツはブラッシュアップされて部屋で待っている。
ブリクストンで手に入れたパープルもパーカの
ハンドウォーマーに忍ばせた。
ハイ・ナンバースのチューンを口ずさみながら
ツートーンのLumbretta LI 125は
漆黒のイーストエンドに溶けて行った…
* * * * * * * * *
なーんて書いていると気分がまじに
20年前にトリップしてしまいます〜
もちろん当時僕の生活環境・東京にはイーストエンドも
カックニーもなかったし(今もないけど笑)
ドラッグストアで働く彼女もスピードなる錠剤も
持ち合わせてはいませんでしたが、
60'Sのディテイルを細かに再現したスーツを
着込んでデコレートしたイタリアンスクーターで
かっ跳んだあと、仲間との60'SのオリジナルR&Bに
ステップを踏んだり新しいレコードや今度手に入れる
ファッションの話をしていればそれだけでハイになれたものです。
僕が新宿にモッズが集まっているというウワサを耳にしたのは84年の秋頃でした。成城学園前駅ビルにあった喫茶店でのバイトの帰り道、ビルの下に停まっていた当時ではかなりめずらしかったLambrettaを見つけ、しげしげ眺めているとオーナーを名乗る隣のレストランのウエイターがゴミ袋を片手に出て来て、「キミもモッズ?来いよ、新宿JAM。月イチで集まってるからさ」と教えてもらったのが始まりです。
このとき僕はまだスクーターを持っていなかったのですが、
スクーターに乗るために中型免許も取得した直後でした。
聞けばそれは『March Of The Mods』というイベントで、
60’Sやネオ・モッズを愛好する連中が毎月集まってギグ
(LIVE~演奏のこと。70年代のパンクロック台頭以降
頻繁に使われたが元々はJAZZ用語)をやっている、ということでした。
その週末さっそく僕もUKに旅行に行ったバイト仲間に
メモを渡してムリヤリ買って来てもらったグレンチェックの
三つ釦ジャケットにロールアップしたホワイトのLEVIS 501と
タッセルを合わせ、明治通り沿いにある『新宿JAM』という
ライブハウスにハナイキも荒く向かいました。
ライブハウスに近づくと夜の歩道にウツクしく並べられたクレイジーなデコレーションスクーターの群れが視界に飛び込んできました。「すっげー!!!」と早足で近寄る僕。
そしてその周りにはいったいどこの街に来ちゃったんだろう!?と錯覚を起こしてしまうようなファッションに身を包んだfaceたち(モッズが個人を指すとき使う用語)!ドットパターンのボタンダウンシャツにツートーンのスーツ、ボーリングシューズにスクエアカットのサングラス・・・M-51パーカを羽織った集団とAラインのワンピースやレザーコートに身を包んだ女のコたちが今夜のギグについて話している姿を僕はなにか溜飲が下がるような想いで見つめていました。「こんなにいるじゃないか東京にも!」
そして「俺も1日も早くスクーターを手に入れなければ!」
と心がはやったことを今でも鮮明に覚えています。
(つづく)
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